現在取扱い楽譜数:ロケット出版2,386件
国内楽譜198,789件、 輸入楽譜55,684件

Music People Vol.71 植田 薫

Let's Get Funky!


What's up everyone? コロナで大変な毎日ですが、ポジティブに生きてますか?自他共に認める「日本一ファンキーな吹奏楽部」、福井県立武生商工(ex武生商業)高等学校吹奏楽部顧問の植田"JB ORGA" 薫です!(我々武商吹部のファンキーっぷりは、ぜひYouTubeでご覧ください♪)

今回は私なりの吹奏楽観について好き勝手に書き綴っちゃいます!トランペットを手にしてから既に50年超えのChang-G(年寄りってことねw)ですが、音楽に対する情熱は全く衰えていませんからね♪


私がこの50年ずっとずっと思い続けていること、それは、「吹奏楽のポップスをカッコよく」すること。50年前に私が入部した中学校の吹部は、後に全国大会に何回も出る名門ですが、当時は部員も少ない弱小部。しかしそこで、「闘牛士のマンボ」や岩井直溥先生編曲の「オブラディ・オブラダ」に出会い、吹奏楽ポップスに魅了されたんです。また当時「 黒い炎(Get It On)」がヒットしていたブラスロックバンド「CHASE」に衝撃を受けてどハマりしたことも、「カッコいい音楽、カッコいい吹奏楽」を追求するきっかけでした。

高校では、「黒い炎」を耳コピで吹奏楽に編曲したり、刑事コロンボのテーマ曲にシンセ(当時は高価だったので物理部の友人に作ってもらったシンセもどき)を入れてみたり、エレキベースを弾いてみたりと様々にチャレンジ。吹部と並行して始めたロックバンドでは、Hard Rock、Brass Rock、Blues、Soulとレパートリーが広がり、サウンドはもちろん、Groove(ノリ)や振り付け等の演出も「カッコよさ」の大きな要素と気づくようになりました。

東京での大学時代には吹奏楽とは距離を置き、ヴォーカリスト/トランペッターとして軽音楽部や学外のバンドでSoul、Funk、Disco、AOR等の音楽にどっぷりと浸かり、ライブハウス、ディスコ、パーティーなどで活動。桑名正博さんのバンドに参加できたのも、貴重な経験となりました。私の場合は、ジャズからではなくRock/Soul/Funkのフィールドから、Grooveする歌唱法や演奏法、ステージ構成や盛り上げ方、振り付けなどを、実践を通して学ぶことができました。また、バンド活動を通して実感できたのは、自分が思いっきり楽しんでGrooveすれば、お客様にもGrooveが伝わり、両者が一体となったGrooveは何倍もの喜びや楽しみを生み出してくれる!ということでした。


元々教員志望で、吹奏楽部顧問になることが夢だった私は、大学卒業と同時に故郷福井県の高校教員となり、いよいよ「カッコいい吹奏楽」を指導できる立場となりました。その頃、今から約40年前の日本のほとんどの吹奏楽部や団体のポップスは、ポップスのイディオムを知らないクラシック系奏法で、Grooveの概念すらなく、振り付けも堅苦しく不自然なもので、「カッコいい」には程遠いものばかりでした。(現在は、ミュージカルに挑戦したり、ダンプレなんてキレッキレのダンスをこなしたりするバンドも出てきて素晴らしいですが、その他の実に多くのバンドが、いまだにカッコ悪い演奏をしているんですけどね・・・。)これは俺が「どげんかせんといかん!(古っw)」と勝手に立ち上がりました。吹奏楽のポップスをカッコよくするには・・・・大学時代や就職後も続けているFunkバンドでウケた、自分が一番得意とするSoul/Funk/Disco音楽をそのまま吹奏楽で再現すればいいじゃないか!楽譜もないなら自分で作っちゃえ!と、Mac(当時はハードもソフトも結構高かった)等機材を買い揃えて編曲、SOUL TRAIN等のビデオをアメリカの友人から送ってもらって(YouTubeはおろかインターネットも普及前でした)演出、振り付けを研究しました。


さて、それを生徒に指導する段階で大事なこと、つまりFunky Musicをカッコよく演奏するポイントは、まずオリジナルアーティストの原曲をよく見せて聴かせてニュアンスをつかませること。特にこのジャンルの音楽は、ギターカッティングのミュートや、ベースのゴースト・ノート、各種エフェクトなど、管楽器では表現不可能なテクニックをどう理解し表現するかが肝心。演奏会ゲストにジャズやポップス系の人を招いて、本物を一緒に体験するのもいいですね。(武商吹部では、ギター、ドラム、パーカッション奏者などもよくゲストに。)振り付けでは、やはり腰や膝を柔らかくしてGrooveの「うねり」を表現することが重要。上半身だけの動きや硬いステップと、腰からうねる動きでは視覚的効果も全く違います。手拍子だけでも、Grooveや裏拍を感じているか否かで全くノリも見た目も変わってきます。また、殊更に振りを付ければいいというものではなく、その楽曲のGrooveに相応しい「必然的な」振り付けも大事です。指揮者も、指揮棒で図形を振るのでは硬すぎ。演奏者と一緒に腰を振って踊ってればいいんですよ♪


余談ですが、独自で編曲したり振り付けをしたりした背景には、「他のバンドと同じことをしたくない」という私の天の邪鬼な性格があります。演奏会でも、日本中のバンドが必ずといっていいほど演奏するその年のJ-Popのヒット曲や大河ドラマのテーマ曲も、○島も○.P.メドレーも、ウチは絶対にやりません!この4月の定演では、まさにその翌日グラミー賞を獲得したSilk SonicのLeave The Door Openをお披露目しましたが、誰もやってないでしょw。 コンクールでも、自由曲選択の条件は「全国大会初演曲」です。誰もが選ぶ「勝ち曲」なんかまっぴらごめん!クラシックやオリジナルの名曲、人気曲は魅力的ですし、好きな曲も多いですが、そういう曲は他校に適うはずがないと思ってますから、ならば、ウチが得意なFunkyな要素を含む、誰もやったことがないような曲で審査員をあっと言わせてやろうといつも企んでます。ですから、日本に数多あるバンドも、そのバンドにしかない特色、つまり地域性、校風や生徒の気質、顧問の先生の得意ジャンルなどを生かした選曲や活動をすれば、全国にもっと多種多様な個性的なバンドが生まれて、吹奏楽がより面白くなるんじゃないかと思ってます。


閑話休題。こうやって武生東高校、武生商業高校でFunky吹奏楽を実践し、編曲してきたSoul/Funk曲は、30数年で100曲近くとなり、(ここから宣伝ねw)その中の12曲をCDと楽譜としてロケットミュージックさんから出版していただけました。武商吹部だけでこんな楽しい音楽をやってるのはもったいないので、ぜひ多くのバンドの皆さんにも体験していただきたいです!



さて、この原稿を書いている時点では、ウクライナでの戦争は終結の目処がたたず、日々多くの人が犠牲になっている状態です。前述のとおり、吹奏楽をカッコよくの根底には、音楽のGrooveを通しての喜びの共有、すなわち peace of mindの共有があります。我々武商吹部の究極の目標は「音楽による世界平和」。小さな県の小さなバンドでも、演奏者が楽しみ、聴く人が楽しむことで心に平和が訪れる・・・それが少しずつでも広がってゆくと、ほんの僅かずつでも世界の平和度が上がってゆくはず・・・これからの日本や世界を作ってゆく若者達に、武器ではなく楽器によって世界の平和を願っていってほしい・・・その願いを込めて、CDには、私のバンドThe New Beads(ニュービーズ)のオリジナル曲で、既に全国の多くのバンドで演奏されている「Luv, Peace under the Groove」(音楽のGrooveが愛と平和をもたらす)を収録してあります。この曲だけは販売楽譜ではなく、希望のバンドには無料で提供していますから、ぜひ演奏してください。戦争やコロナが収まらない今だからこそ、全国で楽しい吹奏楽が人々のpeace of mindを作ってくれるのではないかと期待しています。

そして私は、吹奏楽の中のこの小さい一ジャンルをもっと極めていくつもりです!私は勝手に「ファンキー教」と名付けて、教祖を自認してますけどw、お布施も年会費もいらず、演奏によって世界を平和にすることが信者の使命という、この素敵な宗教の信者を広く募集しています!あ、教祖の後継者も募集中です!コロナが落ち着いたら、また全国に布教に回りたいので、ぜひ呼んでください。どんなバンドでもfunkyにしちゃいます♪演奏者もお客様もハッピーになって、世界が少しでも平和に近づくために全力を尽くしますよ!

最後に、全日本吹奏楽連盟には、昨年石津谷治法新理事長が就任し、日本の吹奏楽をより良いものにしようと尽力しています。私も分不相応ながら理事長の片腕となって貢献したいと思っています。部活動の時間短縮や地域移行など様々な問題が山積ではありますが、全国の吹奏楽を愛する皆さん、共にがんばっていきましょう!





Uptown Funk - 植田薫&武商吹部





植田 薫【うえだ・かおる】
福井県鯖江市出身、在住。小学校からトランペットを始め、鯖江中学校を経て、藤島高校では全日本吹奏楽コンクールに出場。成城大学では軽音楽部の他プロ活動を体験。卒業後福井県の国語教員となり、武生東高校と武生商業・武生商工高校を指導し計15回全日本吹奏楽コンクールに出場。コンクールでは本邦初演を含む斬新な選曲で新風を吹き込み、演奏会ではBlack MusicをベースにしたFunkyな編曲と演出で吹奏楽界に独自のジャンルを築く。福井や東京のFunk BandでもVocalist/Talkbox奏者として活動中。
中日教育賞を中日新聞社より、教育功労者表彰を福井県より受ける。
福井県吹奏楽連盟理事長、全日本吹奏楽連盟理事を経て、現在は全日本吹奏楽連盟副理事長。

コメントを残す

コメントは承認され次第、表示されます。

最近チェックした商品