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Music People Vol.89 盛岡白百合学園中学高等学校吹奏楽部

Music People Vol.89 盛岡白百合学園中学高等学校吹奏楽部

 

「吹奏楽で地域を元気に!~高校生たちの挑戦」

 

きっかけは2024年の春、当時の生徒と資料を見ながらしていた会話でした。この地域は吹奏楽連盟に加盟している中高の在籍人数が学年別に加盟団体に公開されます。その資料を見ながら、中学から高校に上がったときに、吹奏楽を続けている学生が半分以下になっていることに生徒が気づいたのです。確かに年々新入部員の獲得は苦戦する一方。せっかく中学校でやってきた子を見つけ勧誘しても、「もう吹奏楽はいいです…」と言われ逃げられてしまうことが増えてきているのは体感としてありました。本校は数年前まで大編成で演奏をしていましたが、ここ数年は小編成でのコンテスト参加。その部門の中でも人数は少ない方です。活動している子たちは吹奏楽が大好きでしたので、「吹奏楽をする人たちがもっと増えてほしい…」ともやもや。何かできないかと考え始めました。

そこで生徒たちと目を付けたのは高校の授業科目「総合探究」でした。自分で課題設定をし、課題の原因に関する仮説を立て、課題の解決に向けた過程のプロセスを体験して生き方を考えていく。まさに課題意識が芽生えた生徒たちにはうってつけでした。そこから生徒は吹奏楽を始める子たちが最初につまづかないよう講習会を企画したり、プロの演奏家の方々の演奏を間近に聞いて演奏を考える機会を設けたりと頑張りました。思ったような反応が得られず、苦しんだこともありましたが、「自分たちで考えて動いた」という事実が、生徒たちを精神的に成長させました。

時は流れて2025年度の体制がスタート。今年はどうするのかと様子を見ていると、何人かの子たちが今年もやってみたいと相談してきてくれました。これが2025年度の吹奏楽部探究プロジェクトのスタートとなりました。テーマは昨年に引き続き「吹奏楽で地域を元気に!」。今年の生徒が目をつけたのは、世代ごとに活動が輪切りになって吹奏楽を続けていくイメージが描きにくいという事実でした。学生が次のカテゴリーに進学したとき、吹奏楽を続ける自分を、さらに学生を終えて社会に出たときに吹奏楽を続ける自分を想像するには、やはり今そのカテゴリーで楽しんでいる人たちと実際に触れ合うことが一番。そこから「1日で完結するような全世代型のコンサートがあったらおもしろいよね?」というひらめきが生まれて企画は決まりました。どうせやるならおもいきり楽しめるものを、という願いからつけられたイベント名は「吹フェス!」。吹奏楽で1日限りのお祭りをしようというものでした。



ゴールが決まり、今は当日に向けて少しずつ準備を進めています。準備を進める中で、どうしたら興味を持ってもらえるか考えたり、開催に必要な予算を考えたり、イベントの運営に必要な仕事は何か相談したりと、学校生活を送るだけでは経験できない社会にでる訓練も行っています。この努力が実を結び、当日の成功につながって、世代を越えた大勢の方々の笑顔で会場が満たされるといいな、と心から願っています。当日はありがたいことに企画の目的に賛同してくださったプロの方々の協力を得られることにもなりました。地元の新聞にも取り上げていただき、注目を集めるようになって緊張感も出てきました。大勢の笑顔とともに、「また来年、このイベントで会おう!」と世代に関係なく約束してそれぞれの活動に戻っていく。そんな光景が見られますように。

盛岡白百合学園中学高等学校吹奏楽部

米沢 拓

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「岩手日報On Line」でも紹介されました:
https://www.iwate-np.co.jp/article/2025/7/4/184721

●盛岡白百合学園中学高等学校吹奏楽部●

練習時間:16:25~19:00 (原則水・土OFF) 1942年に創部。現在までに全日本吹奏楽コンクール東北大会において金賞4回を含む19回の出場を果たしている。 2010年度には第12回全日本吹奏楽大会in横浜への初出場を果たし、「審査委員長賞」と「ミュージックエイト賞」を受賞。そこから現在までに4度の全国選抜大会の出場を果たしている。

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