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【新譜紹介】ヤン・ヴァン・デル・ロースト作品集

秋山紀夫のバンド指導ヒント

さて今回はヤン・ヴァン・デルローストの新刊を紹介しましょう。2018年にリリースされましたローストのCD作品集『Glorioso』からです。このCDには2017年の作品3曲を含む8曲が収録されています。その中から5曲を紹介しましょう。(秋山紀夫)

【上級バンド】

グルリオーゾ 〜グランド・オーヴァーチュア

グルリオーゾ 〜グランド・オーヴァーチュア  

「グランド・オーヴァーチュア」のサブタイトルを持つこの曲は、シエナ・ウインド・オーケストラの委嘱作品で2017年2月、ローストの指揮で初演されました。曲は5つの部分から成ります;

第1部:金管のファンファーレが中心で実音Fがペダルトーンで、曲の底に流れます。
第2部:讃美歌風なゆっくりした旋律の部分が3分から7分ぐらいまで続きます。
第3部:ティンパニに導かれ速い部分となり、木管が動き回ります。
第4部:再びゆっくりと歌います。
第5部:ティンパニから開始される最後の速いフィナーレで盛り上がります。

トータルで15分と長い曲なので、市民バンドなどの定期のプログラム向きです。(秋山紀夫)



 


ファンタジア・ヘルヴェチカ

ファンタジア・ヘルヴェチカ  

オランダの市民バンドの111周年を記念して、ヤン・ヴァンデルローストが作曲した曲。そのため11分11秒かかる曲を委嘱されました。曲はこのバンドや町の過去を描いたもので、抒情的な旋律や、喜ばし気なお祝いの雰囲気の曲としてまとめています。ティンパニの連打で始まるこの曲は、変化に満ちています。約4分で静まり、神秘的なゆっくりした部分となり、木管のソロが歌い、7分ぐらいからテュッティとなり流れるように進み、9分からテンポを速めクライマックスを作って終ります。(秋山紀夫)



 


コンコルディア

コンコルディア  

ルクセンブルグの市民バンドの2006年の委嘱作品です。同市は鉱山地帯であり、労働者の暗い歌から次第に発展する様子が描かれています。ベートヴェンの第9の主題なども引用されています。10分と長いので定期演奏会向き。後半フーガとなり、その後で第9が現れる面白い曲です。(秋山紀夫)







1834 〜マケラの印象

1834 〜マケラの印象  

1834年創立のルクセンブルグの市民バンドの委嘱作品です。この町の名前は「壁」という意味のマケラから出ているため、サブタイトルとしてつけられています。曲は古い民謡風な美しい旋律の前半と後半はテンポの速い細かい動きで、すべての楽器が動き回る効果的な曲です。グレード4で11分。定期のプログラムにお薦めです。(秋山紀夫)




 


ナマセ・ラプソディ

ナマセ・ラプソディ  

フランスの市民バンドの委嘱作品です。ナマセはその町の古い名前で、市民バンドの創立160周年を記念した曲です。ファンファーレ的な旋律が、様々な楽器で少しずつ滲むように重なっていきトゥッティに繋がっていく曲です。基本的に速い部分は冒頭のファンファーレ的な旋律で全体が統一されているのですが、同じ旋律なのにその時々で伴奏が違うことによりまったく異なるカラーになっているのが面白いところです。同音連打のファンファーレ的な旋律とは対照的な、美しいゆったりとした中間部を経て速い部分へ帰ってきます。グレード5、8分50秒。(秋山紀夫)



 


秋山紀夫【あきやま・としお】 秋山紀夫
 前ソニー吹奏楽団常任指揮者。現おおみや市民吹奏楽団音楽ディレクター。(社)日本吹奏楽指導者協会名誉会長、(社)全日本吹奏楽連盟名誉会員、アジア・パシフィック吹奏楽指導者協会名誉会長、WASBE(世界吹奏楽会議)名誉会員、浜松市音楽文化名誉顧問、アメリカン・バンド・マスターズ・アソシエーション名誉会員。ソニー吹奏楽団名誉指揮者。

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