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秋山紀夫のバンド指導ヒントvol.3「管楽器と吹奏楽の指導」

秋山紀夫のバンド指導ヒント

管楽器と吹奏楽の指導



『先生がいないと練習がうまくいかない』
こんな言葉を耳にすることがあります。私がこの問題の解決に効果的だと思うのは「運動部の練習を参考にする」ということです。一般的に、運動部の人は先生がついていなくても効率的な練習ができています。なぜなら彼らの練習はシステム化されているからです。これは自分たちがどのような順序でどういった練習をすべきかを知っているということに他なりません。吹奏楽においても、練習をシステム化する重要性を理解する必要があります。

運動部の練習の進め方の分かりやすい分かりやすい点は、その結果がスコア、距離、タイム、回数など、数値として出てくることです。これに対して、吹奏楽の練習結果は数値で表すことができません。ここに音楽の難しさがあるわけです。

運動部が試合をするのは通常週に1回から月に1回程度で、それ以外の日は毎日基本練習に費やしています。この点を見習うことは大切です。音階が吹けたら基本練習はもう終わりだと思っていませんか?野球部はキャッチボールができたからといって試合に出られるわけではありません。ゴロを捕りフライを捕る。あらゆる可能性を想定した練習を重ね試合に挑むわけです。こういった努力に関して吹奏楽部員は基本練習をおろそかにしている傾向があるような気がします。

以上のことをまとめてみましょう。

1.練習のシステム化
練習の順序を明確にする。各楽器ごとの最低限のウォームアップパターンや練習曲の準備。
2.目に見える練習
呼吸練習をはじめ、管楽器の練習では目に見えない部分が数多くあります。様々な工夫を重ねることでこれらを目に見えるようにする。それまでとの違いをはっきりと比較できる練習方法。
3.基本重視
吹奏楽の練習では、合奏練習が主体になることが多いものです。これは運動部が試合ばかりしていることと同じです。個人・セクションを中心とした分奏練習を主体にします。合奏はそれらのまとめとして、週1,2回程度やるような練習形態の変化。

以上3点をこれからの指導法の基本として常に考え続けることが大切です。

管楽器指導の目標
指導者、管楽器奏者それぞれが学習をしていく上で目標を持たなくてはなりません。目標とは、美しい音、豊かな響き、バランス、訴求力の4点です。

1.美しい音
最初に各々が正しく美しい音が出せるようにすること。これが指導の根本です。美しい音を演奏することがすべての出発点なのです。
2.豊かな響き
2人、3人と集まった時には、互いに融け合い、響きあった豊かなサウンドを作る。これからのバンドは絶対に良いサウンドを持っていなくてはなりません。これは合奏の基本条件なのです。
3.バランス
バランスは豊かな響きを生み出す条件です。木管と金管のバランス、高音と低音のバランス、打楽器のバランス、木管の中でのバランス、金管の中でのバランス、トランペットセクションの中でのバランス、トランペットとトロンボーンの間のバランスなど、あらゆる場面でバランスを保つ必要があります。そのバランスを調整して保つことが良いサウンドを生み出す秘訣となります。
4.訴求力
訴求力とは訴える力と言えます。現在の吹奏楽指導のなかで不足し、欠落している最たるものです。技術があっても、所謂"ただ演奏しているだけ"のバンドは多いです。聴く人の感動を呼び起こす訴求力はどこから生まれてくるのでしょうか?それは、「テンポ」「ダイナミクス」「曲のスタイルの正しい表現」であると思います。そして、その背景には、必ず美しい音、豊かな響きが無くてはならないのです。

以下の5点はアメリカのバンド指導者の目標とその評価のポイントとして挙げられているものです。これらはコンテストの評価項目としても使われているものです。是非参考にしてみてください。
1.tone quality 音質
2.pitch and intonation 音程と抑揚
3.rhythm リズム
4.technique 技術
5.interpretation 表現





秋山紀夫【あきやま・としお】 秋山紀夫
 前ソニー吹奏楽団常任指揮者。現おおみや市民吹奏楽団音楽ディレクター。(社)日本吹奏楽指導者協会名誉会長、(社)全日本吹奏楽連盟名誉会員、アジア・パシフィック吹奏楽指導者協会名誉会長、WASBE(世界吹奏楽会議)名誉会員、浜松市音楽文化名誉顧問、アメリカン・バンド・マスターズ・アソシエーション名誉会員。ソニー吹奏楽団名誉指揮者。

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