作曲者 | David Gillingham(デイヴィッド・ギリングハム) |
シリーズ | 輸入オリジナル |
編成概要 | 吹奏楽 |
解説 | この「黙示録による幻想」はジョージア大学バンドとその指揮者、デュエイト・サッターホワイトの委嘱で作曲したもので、1995年3月2日に同大学のバンドにより初演された曲です。 この曲についてギリングハムは次のように述べています。 ──1994年に私はシンフォニック・バンドのために「Revelation」という聖書のヨハネの黙示録にもとづく音詩を作曲した。それ以来、音楽を通して黙示を表現することに興味をもった。しかし1984年の「黙示録」は決して満足すべきものではなかったので、さらに大きなスケールの曲を書きたいと思い、この「黙示録による幻想」を作曲した。 この曲は3つの楽章からできている。 第1楽章の「The Vision(幻覚)」は近い将来予想できない世界の終わりという予言者の幻想を、音楽を通して表現しようと試みたもの。はじめは神秘的で次に悪意に満ちたメロディをもつ、暗く陰気な行進曲に移っていく。マーチは熱狂的に高まり、そのあとイングリッシュホーンによる悲痛な表現が続く。第1楽章は暗く、バンド全体が第2楽章を暗示するサウンド・クラスター(自由な演奏)の上に、ホルンとトランペットが脅迫的な表現で終わる。 「凶暴な」というタイトルの第2楽章は、黙示録に次から次へとあらわれる宇宙の大激変をほのめかしている。木管の半音階風なこまかい動きに続いて、金管の低音が全体の楽章のモチーフとなる不吉なメロディを奏する。この低音の金管の動機は拡大され、リズミカルに激しくなり、モチーフの原型が姿を見せる。そしてフーガ風にリズムを変えて演奏される。トランペットのファンファーレ風な動きが、木管によるフラッター・タンギングと打楽器を伴って、打楽器による不吉なダンスがはじまることを告げ木管が続く。この部分はクラスターの手法で下から上へ音を鐘の音のように積みあげる手法でクライマックスをつくる。コーダは木管による半音階的な動きで、ホルンとトロンボーンが不吉なモチーフを奏し、第3楽章の雰囲気を予告しながら活発に終わり、止まらずに第3楽章に入る。マリンバを伴うチャイムの響きで、第3楽章「救世主の王国」がはじまる。このチャイムの響きはキラキラ輝くようなベル、ヴィブラフォーン、マリンバとバス・マリンバのオッシナートのなかに消えていく。このオッシナートはキリストの復活(再来)をつげる聖なる力強いコラールのテーマである。この序奏に続く4つの木管のソロ(オーボー、フルート、イングリッシュホーンとクラリネット)はピアノと打楽器を伴奏として奏せられ、救世主の王国の純粋さを宣言する。曲はテンポを速め、ヨハン・ショップ作曲の「Break Fortho Beauteons Heavenly hight(開け、天国の光)」という聖歌にもとづく、終曲を告げるファンファーレのパッセージとなる。第3楽章はすべての人類のための崇高さ、呼びかけ、希望をもって終わる。── ギリングハムは現在中央ミシガン大学の音楽理論と作曲の教授をつとめ、ピアノ、オルガン、ユーフォニアム奏者としても活躍しています。そのためミシガン州立大学のユーフォニアムの先生であった、レナード・ファルコーニ先生を記念するファルコーニ・インターナショナル・ユーフォニアム・フェスティヴァルのためにも曲を書いています。この曲は1995年度の米国ナショナル・バンド・アソシエーションのレヴェリ博士記念作曲コンテストに入賞しました。 (秋山紀夫) |
編成 | スコア識別 Full Score 木管楽器 Piccolo Flute 1 Flute 2 Oboe Eb Clarinet Bb Clarinet 1 Bb Clarinet 2 Bb Clarinet 3 Eb Alto Clarinet Bb Bass Clarinet Bassoon Eb Alto Saxophone 1 Eb Alto Saxophone 2 Bb Tenor Saxophone Eb Baritone Saxophone 金管・弦楽器 Bb Trumpet 1 Bb Trumpet 2 Bb Trumpet 3 F Horn 1 F Horn 2 F Horn 3 F Horn 4 Trombone 1 Trombone 2 Trombone 3 Euphonium Tuba String Bass(Electric Bass) 打楽器 Percussion |