| 編曲者 | 八木澤教司（ヤギサワ・サトシ） |
| 作曲者 | Albert Hay Malotte（アルバート・ヘイ・マロット） |
| シリーズ | クラシックアレンジ |
| 編成概要 | 吹奏楽 |
| 解説 | 【独唱と吹奏楽版、吹奏楽版の両版を収録した楽譜です】 アルバート・ヘイ・マロット（1895～1964）の声楽曲『主の祈り』は〈天にまします我らの父よ〉から始まる聖書の祈祷文で、その英訳が歌詞に用いられています。アメリカ人ならば誰でも知る名作で、オルガン伴奏、オーケストラなど幅広いジャンルに編曲され、多くの人々に愛されています。しかしながら吹奏楽版の楽譜は現存していませんでした。 そこで、私が勤務している神戸女学院大学音楽学部の作品開発プロジェクトの一環として、指揮者である松浦修准教授の提案もあり、同曲を〈独唱＋吹奏楽伴奏〉と〈吹奏楽版〉の２種の編成で編曲しました。演奏会の間奏曲として、あるいはコラール練習曲としても広く親しんでいただけましたら幸いです。 世界初演は松本薰平教授のテノール独唱、松浦修准教授指揮、同大学音楽学部ウインドオーケストラの演奏で2023年2月に行なわれ、CDもリリースしています。また、YouTubeでLIVE映像を配信していますので、ぜひご覧ください。 （八木澤教司） 【演奏上のアドバイス／松浦 修（指揮者／神戸女学院大学音楽学部准教授）】 「主の祈り」吹奏楽版の初演をさせていただいた際に気をつけて演奏したポイントを書かせていただきます。 この曲の歌詞は、聖書の「マタイによる福音書６章９節から13節」に基づく祈りの言葉です。独唱者のみならず、演奏者全員が歌詞の意味と曲の背景を理解して演奏するように心掛けました。 ハープ（ピアノ）が３連符で終始リズムを刻み、管楽器が和声的に伴奏する構造になっています。ハープ奏者は、歌手のフレーズやブレスに寄り添って伴奏するように心掛けました。和声進行を担う管楽器は、独唱を感じながら、ハープの３連符と歩調を合わせ、和音の動きを揃えて演奏するように心掛けました。 冒頭は弱音で始まり、後半に向けて徐々に盛り上がる構造になっています。パイプオルガンの響きをイメージし、美しい弱音や荘厳で重厚な強音まで、音の”響き”を意識し、丁寧に音色を溶け合わせた一体感のあるサウンドで演奏するように心掛けました。 この素晴らしい作品の吹奏楽版を編曲くださった八木澤教司先生に感謝すると共に、演奏する皆様の参考になれば幸いです。 |
| 解説2 | 《編曲家プロフィール》 作曲家、神戸女学院大学音楽学部准教授。武蔵野音楽大学作曲学科卒業、同大学大学院音楽研究科修士課程修了。 代表作は日本のみならずアメリカ、ヨーロッパ、アジア諸国でもレパートリーとして親しまれている。2019年11月9日天皇陛下御即位奉祝記念式典・国民祭典において天皇皇后両陛下「お出迎えのファンファーレ」として、東京2020パラリンピック開会式の式典音楽として作品がそれぞれ抜擢された。合唱曲として手がけた《あすという日が》は“希望の歌”“東日本大震災復興シンボル曲”と称され、2011年第62回NHK紅白歌合戦において夏川りみ、秋川雅史の両氏によって熱唱された。 これまで全国植樹祭、全国高等学校総合体育大会、国民体育大会の式典音楽制作を歴任。各種コンクール審査員、客演指揮、指導、講演、音楽雑誌執筆に加え、音楽出版社のプロジェクトアドバイザーを務める。公式YouTubeアカウントでは、吹奏楽部員へ向けたアドバイスや質疑応答をLIVE配信中。 第21回日本管打・吹奏楽アカデミー賞［作・編曲部門］(2011年)受賞、平成23年度JBA下谷奨励賞を受賞。 |