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Music People Vol.76 鈴木文雄

高校時代のエッセンス

私は東京都の世田谷区、喜びを多く見ると書く町、喜多見(きたみ)にある国本女子中学校・高等学校の吹奏楽部の顧問をしています。生まれは千葉県船橋市なのですが、隣に千歳船橋という地名がありなんとなく親近感があるなぁとか(国本の最寄りの駅が喜多見で、その3つ先が千歳船橋です)、高校時代の夏にずっと合宿をしていたのが北海道の北見だったなぁとか・・・ そんな事を考え、縁もあってこの学校に関わらせていただき、気がつけば10年ほど経ってしまいました。

今まで楽しく音楽活動ができているのも、その時その時の出会う方々、またいただいた言葉に身を任せているだけなんだなとつくづく感じています。今の自分に大きなきっかけをくださった方は、んー、やはり一番は高校時代の顧問の塩谷晋平先生だと思います。私が吹奏楽を今でも楽しめていられるのは塩谷先生のお陰です。男子だけで綺麗な旋律を奏でている合奏を聴かせていただいき、そしてKOノックダウンされ、各所の反対を強引に押し切って塩谷先生が指導をされている男子校に受験を決めました。楽器が好きで全国大会に出てみたくて高校を選んだ訳ですが、入学した年は3年連続金賞の翌年のお休みの年で、翌年からはコンクールではなく、部活のフィールドを地域の小中学校の音楽教室や、音大の方々との練習や交流、またアンサンブルに特化したりと・・・ 先輩と後輩とコンクールはないのにひたすらデュエットしたり、演奏会を聴きに全国各地に行ったりしていました。「生活の全て」が音楽をする時間と言っても過言ではないような高校時代を過ごしました。先生はいつも「モノホン(本物)を追求しなさい」と言葉をかけてくださっていました。今この原稿を書いていて改めて思いますのは、「私が今やっていることは、ほぼ高校時代のエッセンスがほとんどなんだ!」と、今の今、本当に再認識しています!

そんな高校時代を過ごしていた自分が、今度は女子校で音楽をすることになり・・・ 男子校、そして女子校なのですが、根本的なことは何も変わりません。と言いますか、国本女子のみんなは本番で一番力を発揮してくれます。どんな子でもです! すごいです! 指導をする上で、時代背景的にはうまく合わせていきたいと思っています。男子校と女子校の違いはなんとなく出る音で感じていますが、でもみなさん、女子校のパワーはすごいですよ!!

激動の時代で、来年の世の中も容易に想像できない今を生きる生徒たちと私たちですが、小中高大と大切な学生時代の中では、自分を表現するツールが多岐にわたって選ばれています。青春時代に音楽に触れた経験は大人になっても必ず残っていくものです。今では、人前で演奏することがやっと普段通りになりましたが、まだまだ表現の場所がたくさんある方が良いだろうと感じています。最近は、自分の所属している職場だけではなく世田谷区を発信元として小中学生のみなさんや器楽に触れ合えるきっかけを作ることをたくさん考えています。これから先も音楽が皆さんの身近にあるものを模索しつつ今後の活動に繋げていければうれしいです。

高校時代の素晴らしい影響をくださった塩谷晋平先生、もう10年前にお亡くなりになられてしまいましたが、今この原稿を書いていて思いますのは、塩谷先生のご恩に報いるためにもしっかりとやらねばと・・・ そう思う所存です。

 

鈴木文雄【すずき・ふみお】

国本女子中学校・高等学校吹奏楽部顧問

 

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