作曲者 | Ron Nelson(ロン・ネルソン) |
シリーズ | 輸入オリジナル |
編成概要 | 吹奏楽 |
解説 | この「アスペン・ジュビリー」はフロリダ州ブラデントンのマナティー高校バンドとその指揮者、ハワード・ラーナーとジョセフ・パウエルの委嘱で作曲した曲ですが、ピアノとチェレスタを含む多彩な打楽器セクションとソプラノ独唱(またはあまり音のよくないハーモニカ独奏)を含んでいる面白い曲です。 曲は速い、遅い、速いの3部形式の単一楽章で、約11分ほどの長さ。ピアノと打楽器でリズミカルににぎやかに開始され、フルートとピッコロがコルネットを伴ってテーマの断片を奏し、3小節めからトランペットとトロンボーンが上行形の主要主題を奏し、このパターンはいろいろな楽器で模倣されます。そのあと打楽器が薄くなってやや音楽が静まり、コルネットが主要主題を奏し、ミュートをつけたトランペットがこれに応答します。 フルートとオーボーによるややなめらかな旋律もあらわれ、ホルンのソロが絡みます。フルートとオーボーの旋律が繰り返され、ホルンの旋律はさらにおおらかに歌われます。 そのあと拍子が4/4から3/4に変わり、木管、ホルン、トランペット、トロンボーンが美しい響きで絡み合います。ハワード・ハンソンのロマンティシズムの影響を受けたネルソンの美しいもち味です。再び4/4拍子の曲の冒頭の音型に戻りますが、短く、すぐ静まってゆっくりとした中間部に入ります。この中間部では「ナイトソング(夜の歌)」と作者が呼んでいるソプラノのスキャットが入ってきます。このスキャットはハーモニカで奏してもよいことになっています。 このスキャットにバス・クラリネットやバスーン、ヴィブラフォーン、マリンバ等が絡まり、金管も加わります。下行と上行を組み合わせたソプラノのメロディがゆったり続き、やがてイングリッシュホーンのソロに引き継がれ、高まり、再びソプラノが加わったまま、ややテンポを速め、曲の冒頭のパターンが、ピアノや打楽器や高音の木管にあらわれ、ソプラノのメロディがテュッティで奏せられます。クライマックスのあとソプラノのソロに戻り静かに終わったあと、切れ目なく速い上行形の主要主題に戻り、再びにぎやかさを取り戻します。3/4拍子のテーマの部分も繰り返されたあと、4/4拍子のコーダに入り、打楽器とコルネットの16分音符のリズムの上にホルン、トロンボーン、テューバが上行形の主題を拡大して奏し、華やかな終曲を形成して終わります。 高校バンドの委嘱作品とは思えない、高度な内容をもつエキサイティングな作品です。 アスペンはコロラド州中西部のロッキー山脈のなかにある町の名で、ウィンター・スポーツの中心となっていて、その祭りという意味のタイトルです。 (秋山紀夫) |