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Music People vol.40 齊藤一郎

「ジョーズ in コンサート」
「ジョン・ウィリアムズ・ウインドオーケストラコンサート」
によせて


 今年の夏、8月3日(土)に横浜パシフィコ 国立大ホールにて「ジョーズ」in コンサート(演奏は神奈川フィルハーモニー管弦楽団)、そして9月1日(日)に東京文化会館大ホールにて「ジョン・ウィリアムズ・ウインドオーケストラコンサート」(演奏は東京佼成ウインドオーケストラ)の開催が決定しました。指揮は両コンサート、齊藤一郎氏が務めます。齊藤一郎氏から、以下のコメントが届きました。


 ジョン・ウィリアムズは映画音楽にとどまらず、管弦楽の分野において世界で最も成功した作曲家の一人である。
 2019年のNHK音楽祭では、人気と実力を兼ね備えた若手指揮者ドゥダメルがロサンゼルス・フィルを引き連れ来日公演を行った。そして全ての演目はジョン・ウィリアムズ作品だった。  名だたるアメリカのメジャーオケがクラシックの名曲を一切入れず、今の時代を生きる一人の作曲家の作品だけで勝負に出る。これは極めて異例なことである。


 しかも、NHKホール(3600席)を完売にさせたのだ。
 シンフォニックな曲を書く人は世にたくさんいる。しかし、百戦錬磨のオーケストラプレーヤーの音楽的欲求を満たし、聴衆へのポピュラリティも併せ持ち、かつビジネスとしても圧倒的成功に導く作曲家がジョン・ウィリアムズ以外に誰がいるだろう?
 才能という言葉だけでジョン・ウィリアムズを語ることは失礼だ。兵役を終えジュリアード音楽院で本格的に音楽を学び始めたのは23歳の時である。その後20世紀フォックス専属のオーケストラピアニストとなり、作曲・編曲も行うようになった。当時のハリウッド映画はサウンドトラックにフルオーケストラを使う黄金期だった。
 リチャード・ロジャーズ(「王様と私」、「サウンド・オブ・ミュージック」)やアレックス・ノース(「欲望という名の電車、「スパルタカス」、そして指揮者でもあったレナード・バーンスタイン(「波止場」、「ウェスト・サイド・ストーリー」)等、スーパースターから現場で学んだ影響も大きいと察する。


 しかし、ジョン・ウィリアムズの凄いところは映画やテレビドラマの仕事だけではなく、それらと併行しながら19世紀以降のクラシック音楽の管弦楽法を長年にわたり意欲的に吸収してきたことにある。
 「スター・ウォーズ」における主題の扱い(示導動機)は明らかにワーグナーの音楽語法を元に、管弦楽法はホルストの「惑星」の影響下にある。「ホーム・アローン」ではプロコフィエフのピアノ協奏曲第三番と交響曲第5番の影がちらつく。


 そして、スピルバーグの出世作となった「ジョーズ」の和音構成はストラヴィンスキーの「春の祭典」に現れる《春の兆しと若い男女の踊り》と酷似している。
 Good artists copy, great artists steal.―はパブロ・ピカソやビル・ゲイツが放った言葉で、格言のようになりつつある。先代の芸術家の作品を単に模倣するのではなく、大胆に盗んでオリジナルの表現芸術として抽出したのがジョン・ウィリアムズの音楽なのだ。


 歴史小説家の仕事はほとんどが資料調べに終始し、書く時間は1割にも満たないというが、ジョン・ウィリアムズの映画音楽も同様に、スコアに筆を入れる前の段階で、きわめて多くの時間を大作曲家の作品研究に費やしているのだ。そして、長い過程を経て生みだされたサウンドは夢に満ち溢れたワンダーランドだ!
 だからこそ、その音楽を耳にしたとき、子どもからプロのミュージシャンまで心服させる強い力を放っているのだと思う。


 さて!この夏、横浜の海岸に巨大人食い鮫が現れる!
 ロサンゼルスの野外音楽堂「ハリウッドボウル」で昨年大ヒットした「ジョーズin コンサート」が日本に初上陸するのだ。
 「シネオケ」は大型スクリーンの下にオーケストラが配置され、映画の全てのサウンドトラックを臨場感に溢れた生音で再現する贅沢なエンターテインメント。「バック・トゥ・ザ・フューチャーinコンサート」、「インディ・ジョーンズinコンサート」など、近年日本でも急速に人気が高まっている。
 若き頃のスピルバーグとジョン・ウィリアムズの天才的なコラボを是非リアルタイムのオーケストラ音楽とともにお楽しみ下さい!
 また、9月には「スター・ウォーズ」「ハリー・ポッター」「インディ・ジョーンズ」など、ジョン・ウィリアムズの音楽を吹奏楽で楽しむ「ジョン・ウィリアムズ」ウインドオーケストラコンサート の再演も決定。ジョン・ウィリアムズが創り出す音楽の宇宙を、生で体感して下さい!
齊藤一郎

2019年8月3日(土)

「ジョーズ」in コンサート


この夏、「ジョーズ」が
コンサート会場にやってくる!
映画全編生演奏付き上映
シネマオーケストラコンサート (シネオケ® )で
臨場感たっぷりの恐怖を味わおう!


2019年8月3日(土) 17 時開演(16 時開場)
パシフィコ横浜 国立大ホール (交通:みなとみらい線「みなとみらい駅」より徒歩5分)

作曲=ジョン・ウィリアムズ
指揮:齊藤一郎
管弦楽:神奈川フィルハーモニー管弦楽団
*英語上映・日本語字幕あり

【チケット情報】料金(税込・全席指定)

S席 A席
大人 9,800 円 7,800 円
小・中人 6,800 円 4,800 円

詳細は公式ホームページにて https://cineoke.info/on/jaws

 


2019年9月1日(日)

「ジョン・ウィリアムズ」
ウインドオーケストラ
コンサート



「スター・ウォーズ」「インディ・ジョーンズ」「ハリー・ポッター」他
20世紀最大の映画音楽作曲家、ジョン・ウィリアムズが創り出す音楽の宇宙を体感せよ!!
「ジョン・ウィリアムズ」ウインドオーケストラコンサート再び開催決定!

2019年9月1日(日) 15:00 開演(14:15 開場)
東京文化会館大ホール

作曲=ジョン・ウィリアムズ
指揮:齊藤一郎
吹奏楽:東京佼成ウインドオーケストラ

【チケット情報】料金(税込・全席指定)

S席 A席 B席 C席
6,000 円 5,000 円 4,000 円 3,000 円

 

 

齊藤一郎【さいとう・いちろう】
東京学芸大学、及び東京藝術大学音楽学部指揮科卒業。東京藝大在学中に安宅賞受賞。1997年大阪センチュリー交響楽団を指揮してデビュー。1998年より文化庁新進芸術家海外研修員としてウィーンで研鑽を積んだ後、NHK交響楽団アシスタントコンダクターを務めた。これまでに、N響等国内主要オーケストラに客演する他、セゲト響(ハンガリー)、モラヴィア・フィル(チェコ)、オラディア・フィル(ルーマニア)などにも出演。2009年4月~2014年3月セントラル愛知交響楽団常任指揮者。2014年4月より同団首席客演指揮者。2014年4月より京都フィルハーモニー室内合奏団音楽監督。邦人作品への積極的な取り組みが評価され、2014年第9回名古屋音楽ペンクラブ賞を受賞。

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