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吹奏楽を愛して ~65年のあゆみ~ 第二十四回

吹奏楽を愛して ~65年のあゆみ~
(連載100回)

吹奏楽に夢と希望を燃やしながら―――
助安 由吉
(株)エイト社代表取締役
ロケットミュージック(株)顧問
吹奏楽ポップス楽譜の生みの親は服部良一先生と長男の服部克久先生である。
吹奏楽はクラシック中心の世界。
その中に歌謡曲やポップスを入れてバンドの多くの皆さんに喜びを与えられたことが吹奏楽の発展へつながっていく。



24.「人を動かす」本との出会い

緒方隊長の計らいで、板橋区にある豊南高校夜間部に入学させていただきました。私は小学校時代から物覚えがとても良いほうでした。私のおじさんが軍隊に入隊する時に、とても長い文章を暗記しなくてはならなかったらしく、声を出して一生懸命暗記をしていたことがありました。それを側で聞いていた私は、おじさんより早く覚えていたくらいでした。  小学校の学芸会での配役の割り振りの時のことです。私はその日学校を休んでしまったので、役はもらえませんでした。しかしクラスの皆がセリフを覚えるのに悪戦苦闘している中で、私は1回セリフを聞いただけで全配役のセリフを覚えていました。そのように物覚えが良いことから、豊南高校の夜間部で私は生きがいを感じていました。しかし高校の勉強は、なかなか思うようにはいきませんでした。特に英語と数学はとても苦手でした。数学は理論なので暗記はできませんが、英語は丸暗記ができるので、試験は簡単に合格点がとれました。しかし試験が終わるとその瞬間にすべて忘れてしまうのです。昼間は自衛隊の音楽隊にいるので、その間は学校の勉強をする時間がありません。そのために夜学から帰ってから、当直の人にお願いをして夜遅くまで隊内で予習復習をしていました。しかし時間には制限があります。それを超えると消灯になってしまい、勉強をすることができなくなってしまいます。特に試験が近づくと時間が足りません。そこで考えたのは、消灯後みんなが寝ている時間に毛布を頭からかぶり、懐中電灯で照らしながら勉強をするということでした。そのせいで入隊時の目の検査では1.5でしたが、高校を卒業したときには眼が悪くなっており、眼鏡をかけなくてはならなくなっていました。
 練馬駐屯地は東武東上線の「東武練馬」駅です。そこから「大山駅」まで毎日通学するのですが「大山駅」から学校までは約15分ほど歩きます。ある日、5才くらいの男の子が道の側溝に落ち、泣いているところに出くわしました。私はとっさに溝から男の子を助け出し、顔や体をハンカチで拭いてあげ、男の子を家まで送ってあげました。男の子のお母さんは恐縮して、新しいハンカチを差し出してくれたのですが「こんなことは当たり前ですから結構です。」と言って受け取りませんでした。私は普段から自衛隊の制服を着ていたので、私が練馬駐屯地の人だとすぐ解ったようで、その後新しいハンカチが自衛隊に届けられていました。“人の一寸した行為であってもお返しをして下さる人がいるんだなぁ” と私はその時に感じました。私にとってとても小さな出来事ながら、大きな学びとなりました。
 そして豊南高校の夜学に通っている時に、もうひとつ奇跡のようなことが起きました。夜学は先生が時々変わることがあります。その時も今までの先生が急に来られなくなったとのことで、代わりに40才位の男の先生が担当でした。授業が終わったあと、その先生は急に話を変えました。生徒は私を入れて10数人位で、男は私1人でした。先生 は「これから皆さんが人生を歩んでいくにあたりとても大切な本があります。この本を皆さんに紹介します」と言い、1冊の本の名前を黒板に書きました。その本の名前は“デール・カーネギー”の「人を動かす」でした。これが私にとって人生最大の本になったのです。そして音楽隊長の緒方隊長が言っていたことはこれだったんだと思いました。自衛隊の音楽隊にどんなに長くいても、この「人を動かす」に書かれているように、体験を中心にしたことは学ぶことはできないからです。
 東京に出てきてから、自衛隊で16回目の職ですが、多くの人たちと出会い、そこでトラブルや怒りや悩みや悔しさを、何回も何回も感じてきました。音楽隊の仲間同士であっても、人間関係というものは上手くいくことがない時もありますし、これからの長い人生を考えても“この本は人生のバイブル”だと心底から思いました。人との関係が見事に書いてあったからです。私のような気が短く自己中心的な人間がそのままで世間を渡って行ったならば、敗残者として生きなければならなかったと思います。この先生はそのあと1度も学校に来ることはありませんでした。その先生は私に1番必要な本を教えに来てくれたとしか思えませんでした。この“デール・カーネギー”の本は世界的なベストセラー本だったということはあとで判ったのですが、その時は半信半疑で、初めはこの本を買おうとは思ってはいませんでした。しかし先生のお話を聞いているうちに「やっぱり買って読んでみようかな」と思うようになり、自分で買って読んだ時から私の人生は180度変わりました。この本は奇跡と呼べる本であり、人類すべてが読むべき本だと思うようになっていきました。
 この時のことが音楽隊の中でも十二分に活かすことができましたし、そのあと株式会社ミュージックエイトという吹奏楽の楽譜の出版社を作るに当たっては、この本が私のすべての問題を解決してくれ、様々な人間関係を善い方へ導いてくれました。このような奇跡の本に出会えたことは、緒方隊長が「高校くらいは出た方がいい」と言ってくれて、隊長の権限で夜学に通わせてくれたことからだと思います。人生とはとても不思議なものだと思います。実体験はものすごく大切ですが知識も同じくものすごく大切なものだと理屈抜きに思うようになりました。まずは本によって知識を得ることと、その知識を活かして実行すること、これによって必要な智慧が湧き出してきます。この智慧を実際の現場に当てはめていくのです。もし私がこのデールカーネギーの「人を動かす」という人生のバイブル本に出会うことがなかったら、現在の自分は無かったと思います。更に解ったことは、夢と希望に向かってあきらめることなく、一生懸命努力をしていると、救ってくれる人が必ず現れてくれるということでした。





吹奏楽が生きる力となり 夢と希望となる
吹奏楽は皆さまの体であり、皆さまの血や肉であり、皆さまの精神であり、永遠に尽きることのない魂たちです。
クラシックが中心の吹奏楽界の中で、歌謡曲やポピュラーソングを入れ、このように大発展ができたのは、バンドの皆さまのお力のおかげです。
全国のバンドの皆さまに心からありがとうと言う以外に言葉はありません。


助安 由吉



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