Music People vol.35

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Music People vol.35

Music People Vol.35

譜面通りに演奏することが必ずしも正解ではない

 皆さん初めまして、ベーシストの小林修己です。
 始めに、僕のことを知らない方も多いかと思いますので、生い立ちと普段の活動について軽く触れておきます。

 静岡で生まれ、音楽を始めたのは幼稚園から習い始めたピアノからでした。と言っても、当時は音楽に興味があるわけでもなく、自分から習いに行きたいと言った記憶もなく、親に「やってみる?」と聞かれ何となく「うん」と頷いたのがきっかけだったと思います。好きでもない教則本の課題曲を練習していかなければならないことが辛かったことしか覚えていませんが、惰性で小学校6年生くらいまで続けました。(笑)

小林修己  中学に上がる頃には、音楽番組を見たりお気に入りのバンドのCDを買ってみたりと、すっかり音楽に興味を持っていましたし、バンドをやってみたいとも思っていましたが、進学した学校に軽音部がなかったため、仕方なく吹奏楽部に入部し、高校を卒業するまでの6年間それなりに真面目にフルートをやっていました。
 その間もバンドへの憧れは捨てきれず、エレキベースの入門セットを買ってもらってからは楽しすぎて、暇さえあればベースを触っていましたし、『Youtube』でいろいろなプレイヤーの演奏を見て奏法を研究しました。
 大人が集まってやっているジャムセッションにも行って弾きまくったりして、とにかくベースにのめり込んでいきました。

 理系の大学に進学してからも軽音サークルでライブをしたり、ジャズ研で遊んだりしていましたが、僕の演奏を気に入ってくれた他大学のビッグバンドジャズサークルからバンドに誘われ、出場した全国大会でバンドとして、そして自分が個人賞を取ってW受賞を果たし、この頃から夢のまた夢と思っていた『プロ』の道を意識し始めます。

 賞を取ってからは学生ジャズ界隈で少しだけ名が通るようになり、さらにいろいろなバンドに誘われるようになりましたし、プロのミュージシャンとセッションさせて頂く機会もできました。

 その後かなり悩みましたが、就活はせず大学を卒業してからプロとして活動を始め、現在では様々な歌手、アイドルのバックで演奏したり、音楽番組のTV収録に行ったり、レコーディングでアニメやゲームの主題歌に参加したりといろいろな仕事に携わっています。

 さて、ロケットミュージックさんから何か書いてほしい。音楽のことなら何でも良いと言われどういった内容にしようかいろいろと考えましたが、このコラムは吹奏楽をやっている学生さんが読むことが多いと伺いましたので、『吹奏楽のエレキベース奏者に向けたアドバイス、心構え』について、僕の独断と偏見たっぷりに書かせていただきます。

譜面通りに演奏することが必ずしも正解ではない
小林修己  吹奏楽でエレキベースが必要になる曲の多くがポップス系の曲ですが、そうした楽曲はもともとベース、ギター、ドラム、鍵盤といった『バンド形態』で演奏されています。僕も仕事でこういった楽曲をよく演奏しますが、用意される譜面はマスター譜と言って、コードとキメやシンコペーション以外何も書いていないもので、フレーズなどは自分のセンスと技術で即興演奏するのが一般的です。

 本来エレキベースは、楽譜に書いてある音符の通りに演奏するというクラシックの考え方とは根本的に違うジャンルの楽器なのです。真面目に譜面通り演奏するのもいいですが、要所でグリスダウンやフィルイン等を入れて遊び心を持ってプレイしてみてはいかがでしょうか。(コンテストやコンクール等の採点・評価されるような場所で演奏する場合、この限りではない。)

 ぶっちゃけ、こういった楽曲ではエレキベース1本いれば成立するのですが、吹奏楽ではチューバやコントラバスといった他の低音パートがいてまったく同じ動きをしていたりすることが制約となっているため、残念ながらあまり自由に演奏しすぎると低音が濁ってアンサンブルに悪影響が出てしまいます。ベースだけが目立つ箇所や、他の低音パートが休んでいる部分は自由に演奏し、同じ動きをする箇所はしっかり合わせるなど、バランスはよく考えてくださいね。

 また、エレキベースは楽器の特性上音量の表現幅に限界があります。ピッキングの仕方でざっくり音の大きい小さいはコントロールできますが、pp、p、mf、ffといった繊細な音量変化がつけ辛いこと。音を発音した瞬間にピークが来て次第に減衰していくため、p<fのような表現ができないこと等、こういったエレキベースが苦手な部分をよく理解した上で演奏することは重要ですし、できないことはできないのでそこに余計なエネルギーを割くなら考えるべきことは他にあると思います。

 当たり前ですが楽譜上の音符はベーシストではなく編曲者さんが書いたものですし、他の低音パートの動きと合わせてコピペされているパターンもよくあるので、音域やニュアンスを変えたらもっと格好よくできるなと思う瞬間が多々あります。一番多いのが音域に関して。ベースが低い音域にいればどっしり支えることができますし、反対に高域にいけばアンサンブルが軽くなり、テンション的にはすこし落ちた雰囲気になったりと演奏内容はもちろん、ベースの音域がアンサンブル全体の印象を大きく左右します。吹奏楽では曲のサビ等しっかりと盛り上がっている箇所なのに音域が上の方で書いてある場合がよくあるのですが、こういう箇所はオクターブ下げして支えるようにするとグッと格好よくなると思います。

 あと、ロックな曲なのにルート8分音符にスタッカートがついているなど、やってみて違和感を感じる箇所は本当にそのニュアンスでいいのか疑いましょう。(笑)

 管楽器などと比べると吹奏楽でエレキベースはなんとも言えない立ち位置だと思います。1人しかいないし、音を間違えたりしなければ普段特に何も言われないんじゃないですか?(笑)しかし、ポップス曲においてエレキベースは本当にめちゃくちゃ重要で唯一無二な存在なのです。是非魂を込めて楽しんでプレイしてください!


小林修己

小林修己【こばやし・なおき】
ベーシスト
フリーのベーシストとして数々のライブ、レコーディングサポートを経験。KenSmithエンドーサー。
Works (Live/Recording)
柴咲コウ、滝沢秀明、柏木由紀(AKB48)、chay、相川七瀬、倉木麻衣、小袋成彬、川嶋あい、capeson、erica、etc…




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