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> Music People vol.2

Music People vol.2

Music People Vol.2

自分たちが磨き上げたメッセージが観客に届き、共鳴してもらえた時の一人一人の感動の笑顔。
これが私を次なる "欲張りなチャレンジ" に駆り立てる最大の理由である。


【欲張りなチャレンジ】

 「見えるものしか聴こえないよ。聴こえるものしか見えないよ。」音楽と視覚効果を結合したイメージ表現を追求するマーチング指導で、私が常日頃、生徒に語る言葉である。
 優美さや安らぎ、激しさやスピード感、快活さや沈痛さ、あるいは飛翔感、等々。音楽がもつイメージをどのように[見てもらう]かを考え、音楽と視覚の相乗効果を求める。
 そんな" 欲張りなチャレンジ" こそがマーチングの醍醐味と言えよう。
 広範で多彩なテーマやジャンルに挑戦できるのもマーチングの魅力である。テーマは例えば、"宇宙への旅"、"あるレストランの一日"、"春夏秋冬"、"レ・ミゼラブル"、"大いなる海"、"モーツァルトの生涯"、"光と影"、"あるマジシャンの夢"等々。
 選曲作業と前後しつつ表現してみたい世界を自由に(時に悩みに沈みながら)練り上げることは楽しい。
 またジャンルは、西洋クラシック(グレゴリオ聖歌から現代まで)、ジャズ(デキシーランドからアバンギャルドまで)、各国・地域の民謡、映画音楽、ロック(ロック& ロールからヘヴィメタルまで)、ポップス、フュージョン等々・・、テーマに沿うショー構成において幅広く挑戦できること。これもまた大変に楽しい作業である。
 カラーガードは伝統的な手具であるフラッグ、ライフル、セイバーの他、テーマに合わせ新しいものを作成・使用するなど表現の幅を広げている。またダンスは、クラシックバレエの基礎練習を土台に、ジャズ、モダン、民族舞踏、ヒップホップなど必要な要素を貪欲に取り入れ、視覚面のエンターテインメント性を向上させている。
 衣装やフラッグの作成ではイメージに合うデザインとカラーコーディネーションに心を砕く。
 日々の練習では、演奏・動きともに基本練習を最も重視する。一つずつ小さな石を積み上げるように、楽器の持ち方や姿勢からコツコツと進めていく。特に基本練習では、やりがいを感じて楽しく取り組んでもらうことが大切なので、まずは目標・お手本を実演やビデオ、オーディオで知ってもらう。そしてお手本のこの部分を目指して「○○の練習パターンを○○に気をつけながら反復してみよう」という形で示し、生徒たちが意欲的に取り組める工夫を心掛けている。
 高校のバンドでも初心者は多く、小学校の場合はほぼ全員が初心者なので、子供たちにとっては教えられること全てが戸惑いかも知れないが、やはり楽しさやカッコ良さを生き生きと話してあげて「自分もそうなりたい!」という気持ちになってもらう。そして小さな目標を立てて達成感を味わってもらうようにしている。
 ショーの各場面をクリーニングし、魂を吹き込むプロセスも同じ形で、例えば昨年の湘南台高校が演じたムソルグスキーの【展覧会の絵 キエフの大門 】では、生徒たちに「ムソルグスキーの親友ハルトマンが書き遺した同名の絵ーー実際に建造されることはなかったーーをムソルグスキーはどんな気持ちであの壮大な音楽につくり上げたんだろう?」と問いかける。各々心の中で答えを探り、意見を出し合ううちに「ダイヤモンドのように固く美しい友情の音楽だ」という結論に達する。
 日ごろ全身全霊をかけて演じている曲だけに、その世界観はまるで手で触るような実感あるものとして生徒たちの心に満ちたと思っている。また、自分にとっての友情とは?団結とは? とキエフの大門の壮大な響きを鏡として様々に感じ、考えてくれたとも思っている。
 こんな気持ちを込めて演じたい、というイメージが固まったらもう一度、各楽器の音色、各声部間のバランス、フレーズごとのトータルサウンドの質感、ダイナミクスシェイプの作り方などを洗い直して表現に磨きをかける作業を行う。
 制作された脚本と生徒たちの日々の鍛錬がマッチして、観客の耳と目に訴えるとき、美的な、または知的な、あるいは情緒的な感動を巻き起こす。観る人の心と体を揺さぶるようなショー作りを目指し、これからも研究と思索を続けたい。
 生徒たちはショーを創り上げていく、"クリエイティブ体験"を通して想像力を育み、努力の大切さ、団結することの難しさと楽しさ、挑戦することの素晴らしさを学ぶ。
 自分たちが磨き上げたメッセージが観客に届き、共鳴してもらえた時の一人一人の感動の笑顔。これが私を次なる "欲張りなチャレンジ" に駆り立てる最大の理由である。

大川 勝己【おおかわ・かつみ】 大川勝己
2000 年から現在まで神奈川県立湘南台高等学校吹奏楽部 White Shooting Stars を指導




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