Music People vol.13

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Music People vol.13

Music People Vol.11

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『今の私』を作るもの

 私はシエナウインドオーケストラのクラリネット奏者です。そして、小学三年生の男の子のママです。どちらの私も本当の私。どちらの時間も大変だけど素敵な時間。この二役を与えられたことをとても幸せに思っています。今の私があるのはたくさんの方々の優しさ、たくさんの偶然、そして奇跡なのだと思います。

 今日は、[今の私]がどうやって出来上がってきたのかお話ししたいと思います。

 一番はじめの将来の夢は、バレリーナ!幼稚園に通っていた頃に、大のお気に入りで大切にしていたオルゴールがありました。小箱のフタを開けると赤い衣装を着た小さなバレリーナが音楽に合わせてクルクルとまわります。毎日何度も何度もフタを開け閉めし、その可愛らしい姿に魅了されていました。「私もバレリーナになる!」単純な私。バレリーナになる夢はバレエを習うこともなくいつの間にか忘れてしまいました。

 私には2つ上の姉がいますが、何でも姉の真似をしたい次女の私は、いつもお揃いの服を着て姉の後ろをついて回っていました。そして小学生になると姉の習っていたピアノをはじめました。自分は下手だったけど、先生の弾いてくれるお手本演奏は満天の星空のように美しかったです。二番目の夢は、ピアノの先生になる!図々しい私。そのうちにピアノはやめてしまいました。

 中学生になりようやくクラリネットと出会ったわけですが、吹奏楽部入部までには少し時間がかかりました。当時、山口県下関市立玄洋中学校吹奏楽部は、吹奏楽コンクール全国大会三年連続出場の有名校。当然、部活動も熱心に行われていました。ピアノを習ってる人情報をなぜか知ってらっしゃる顧問の先生から勧誘を受けましたが、吹奏楽部は厳しいぞ!の前評判に怖じ気づいた私は華道部に入部。私、しばしお花を生けてました…

近藤薫  でも、吹奏楽部には未練あったんですよね。その後もお誘い下さる顧問の先生のこの言葉で、入部決意!「君は将来、クラリネットのパートリーダーになってほしい!」乗せられちゃったかもしれませんが、それが[今の私]の始まりです。みんなより一ヶ月遅れて吹奏楽部に入部しクラリネットパートへ。でも、ここだけの話し、実はフルートが吹きたかったんですよ。キラキラしてるフルート、今でも憧れです!なので、大人になってから買っちゃいました。レパートリーは『夏の思いで』一曲のみですけど…

 部活動、確かに厳しかったですね。先輩たちも怖かったなぁ。一年生の間は基礎!基礎!基礎!毎日ロングトーンや音階ばかり。さすがに退屈になり、まだ教えてもらってない音を勝手に開発した指使いで出して先輩から怒られたりもしました。でも、中学三年間の部活の日々が、粘りや根性を与えてくれたのは間違いありません。音楽って楽しいもの。でも楽しむためにはとてつもなく努力をしなくてはならないのです。音楽って自由なもの。でも自由な音楽を生み出すためには細かな正確さが必要なのです。このことは、プロとして音楽に関わっている今も、とても重要に考えています。

 残念なことに私自身がレギュラーメンバーだった二年生、三年生のときは吹奏楽コンクールの全国大会に出場することはできませんでした。でも、あの時仲間と流したたくさんの涙は今に繋がる宝物です。ちなみに、パートリーダーは予定通りやりましたよ。

 このままクラリネットを続けるかと思いますよね、普通は…

 高校生となり、英語の先生から「君はスチュワーデスに向いているんじゃない?」と言われ、単純な私はまたまた乗せられてすっかりその気!大学や専門学校などの資料集めに燃えていました。なのですが、吹奏楽部時代のクラリネット仲間から、「音楽大学に進学するの」と聞いた私は「よし、私も音大行く!」と決意。楽器も持っていないし、一年以上クラリネットを吹いていないのに、音大受験目指して行動開始した無謀な私です。
 まずは両親の説得。反対されて当たり前の状況でしたが、部活動で培った粘りで何とかお許しをもらえました。

近藤薫  次は楽器です。すぐにクラリネットを購入できるような我が家ではなかったので、すでに違う学校に転勤されている顧問だった先生にお願いし、学校の楽器を貸していただきました。先生にはクラリネットの師匠も紹介いただき、心より感謝しています。昨年は先生が指揮をされている一般バンドにお招きいただき、クリニックや合奏をご一緒でき嬉しかったです。

 シエナの公演で山口県を訪れたときには、師匠、先生、吹奏楽部の仲間も駆けつけてくれ、音楽がもたらしてくれた繋がりに心があたたかくなりました。楽器の次はピアノや楽典、ソルフェージュなどの習い事手配に追われ、バレリーナ、ピアノの先生、スチュワーデスのときと違い、音大受験に向けてまっしぐらでした。

 京都市立芸術大学に入学し大好きなクラリネットを存分に勉強できて、もちろん大変なこともあったけど楽しくて仕方ない四年間でした。大学時代の先輩、後輩、友人は今でもお付き合いのある仲の良さ、幸せなことですね。卒業後は大学院へ進み、さらにクラリネットや音楽の勉強を重ねました。大学院を修了し、一年間は関西にて仕事をさせていただき、その後にシエナに入団することになります。

 シエナ、いいですよ。団員の私が言うのも何ですが、良いです!まだシエナの公演にいらしたことのない方はぜひ足をお運びください。心よりお待ちしています!(宣伝、宣伝!)

 さて、シエナに入団し数年たち、遅蒔きながら結婚し、子供を授かりました。さぁて、それからは毎日の生活が一変!!赤ちゃんがお腹にいるときからずっと一緒に過ごしているから、すでにお母さんになった気分でいたけれど…...甘かったですね。産みの苦しみも聞いてはいたけれど想像以上のもので、でもこれから始まる子育てが本当の大変さだったのだとわかるのにそんなに時間はかかりませんでした。入院中や実家暮らしの間はまだ序の口、自宅に戻って真の子育てを思い知らされました。

 赤ちゃんが産まれたら自動的にお母さんになれるわけじゃないんですよね。私にとっても産まれて初めての経験なわけですし、赤ちゃんと過ごす時間を積み重ねることで少しずつお母さんになっていくんですよね。まだまだお母さんになれてない私はダメダメなママだったと思います。今でもそうですけど。

 赤ちゃんは、当然よく泣く!そしてなぜか(ウチの赤ちゃんは)昼寝しない!夜泣きは日常!

 産前産後2ヶ月ずつ演奏の仕事はお休みしました。でも、レッスンやおさらいはありましたので、自分の時間がなくなり焦りました。ママが焦ってるから赤ちゃんは寝てくれなかったりするんですけどね。出産前は1日8時間寝ていた私でしたが、あの頃の私の睡眠時間はどうなっていたんだろう??やっと寝てくれたー!よし今のうちに食事の準備しよう。ご機嫌で過ごしてくれてるー!よし今のうちに練習しよう。そんな時間はほんの束の間ですぐに呼び戻されちゃいます。

 夜中は2時間おきに授乳+原因不明泣き。私がウトウトしてきたころにオギァーと来るんですよね、不思議と。[赤ちゃんがお昼寝したときには自分も一緒に寝ちゃいましょう]とか育児書には書いてますけど、寝てる場合じゃないんです、現実は。やりたいこと、やらなきゃいけないことが山のようにあるんですから。寝るのを待っていたり寝かしつけるとイライラしちゃうから作戦変更!片手ダッコ、膝ダッコ、オンブでなんでもやっちゃえー!って。冷蔵庫に楽譜をはっておさらいするのは当たり前になっちゃいました。しかも、赤ちゃんがぐずらないようにゆらゆら揺れながら楽器を吹くからかなり足腰が鍛えられました(笑)。あって良かった玄中吹部根性、子育てにも役立ちました!

 赤ちゃんのお相手や家事に追われ、お昼ご飯食べそびれて夕方四時くらいにパンやお菓子を好きなだけ食べても、夜泣きの寝かしつけのあとにアイスクリームを食べたりしても、今より10キロ近く痩せてたのは息子のおかげですね(笑)。

 そしてシエナ復帰後、リハーサル休憩中はいつもケータリングコーナーにいて、差し入れのお菓子を我が物顔で食べていて、「ケータリングの女王」と呼ばれたこともあります…

近藤薫  息子は日々成長し、この春、小学三年生になりました。今となっては、夜泣きも早朝公園遊びも離乳食作りも全部懐かしいです。まだまだ語りきれないくらいにその頃は本当に大変でしたけど、仕事を辞めたい、辞めようとは思わなかったなぁ。やっぱり音楽って素敵なんです、辞められるわけがない。そして辞めなくて良かった!もちろん私一人きりで頑張れたはずもなく、まわりのたくさんの方の協力のおかげで、息子がここまで成長でき、私も仕事を続けることができました。

 いろいろとお話しましたが、[今の私]はこれまでの人生で体験してきた全てがあっての私なのです。でも、やっぱり何より息子と出会えたことは人生最大で最高の奇跡!私の人生に途中参加した息子ですが、私が産まれた時からこの奇跡は仕組まれていたような気がしてなりません。クラリネットと引き合わせてくれたのも息子なんじゃないかなって思うのです。

 子育てしながら仕事を続けるのは大変です。でも、大変だからこそ日々前向きに取り組むことができるのだと思います。お料理にいろいろな調味料を加えて美味しさを引き立たせるように、私の人生には[息子との出会い]が必須の調味料なのです。時にはほんわかと心をやわらげ、時にはぴりっと気持ちを引き締め、時には思いもよらないことにもなるスペシャル調味料の我が息子とともに、これからも音楽に子育てに奮闘しますよ!


近藤薫

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近藤 薫【こんどう・かおる】シエナ・ウインド・オーケストラ クラリネット奏者
 山口県下関市出身。12歳よりクラリネットを始める。京都市立芸術大学音楽学部卒業、卒業演奏会出演、京都市音楽協会賞受賞。山口県新人演奏会出演。京都市立芸術大学大学院器楽科修了。宝塚ベガ音楽コンクール入選。西村一、村瀬二郎、朝比奈千足、鈴木豊人、鈴木良昭各氏に師事。
 現在は、佐渡裕氏が首席指揮者を務めるシエナウインドオーケストラのクラリネット奏者として演奏活動やテレビ出演、CDを多数リリースする他、シエナのユニットにてアンサンブル活動も行っている。また、シエナの公演では司会者としても活躍中。指導については関東圏はもちろん地元山口においても積極的に活動している。




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