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真島俊夫氏との想い出

真島氏と私の間にはたくさんの想い出があります。その中でも真島氏ご夫妻と私で世界一周したことは決して忘れることはできません。私たちはたった1枚のCDを録音するために旅に出たのです。

キングレコード様によるCD「GOLD POP」。当時私はこの「GOLD POP」の制作の全てを引き受けました。制作というのは、企画、選曲、演奏団体、指揮者、ゲストミュージシャン、ディレクター、エンジニア、スタジオ手配等、気の遠くなるような多くの作業が含まれています。私はまず総監督を真島氏にお願いすることにしました。

私が打ち合わせに選んだ場所は赤坂にある「オーバカナル」というカフェ。ここは真島氏の愛するタバコが吸える上、氏がこよなく愛するワインが豊富に取り揃えられています。ワインを飲みながらの打ち合わせでは自ずと企画の規模が大きくなっていき、最終的にはまるで冗談のような企画になってしまいました。当時は本当に実現できるのか誰もが不安になるような企画でした。

例えば・・・
・サックスはジャズ・ジャイアントの一人、フィル・ウッズ氏。
・ハーモニカは真島氏が大尊敬するジャズ・ジャイアント、トゥーツ・シールマンス氏。

しかし私たちはフィルとトゥーツのマネージメントと交渉を重ね、最終的に出演の承諾を得ることができました。フィルはニューヨーク、トゥーツはベルギーのスタジオでレコーディングすることになったのです。

こういった経緯で真島氏ご夫妻と私は連れ立って旅に出ることになったのです。

ニューヨークでのフィルの録音。その凄まじいソロの演奏風景は今でもよく覚えています。航空自衛隊による演奏音源と合わせて演奏されるフィルのアドリブ。最初のテイクから6曲通して全てが完璧でした。ガラス細工のような繊細な響きから咆哮のような激しいソロ。それを目の当たりにした真島氏が何度も何度も深く頷いていたのが印象的です。
その夜はスタッフみんなで真島氏の部屋に集まり、氏のお気に入りのワインを飲みながら、朝まで何度も何度もラフミックスを聴き続けました。あまりの素晴らしい録音に高揚した私たちは誰も眠ることができなかったのです。その時の氏の満足そうな笑顔は今でもよく思い出されます。

ニューヨークを後にした私たちは一路ベルギーに向かいました。トゥーツの録音です。プールバーやダーツが併設されたレコーディング・スタジオ。ミュージシャンやスタッフがリラックスした雰囲気で作業できる最高の環境でした。およそ1本のハーモニカから奏でられているとは思えないような美しいソロ。時に叙情的で詩的でもあるサウンドは、その場にいるスタッフ全員の心を一瞬にして掴んでいました。この時の真島氏とトゥーツのコミュニケーションは完璧で、2人の人間が1つの目標に向かって完全に同調していました。

ベルギーでのレコーディングを終えた私たちは、氏の愛するパリに向かいます。この時私は朝から晩までご夫妻とご一緒させていただきました。お2人はその時間の全てを私のために使ってくださったのです。パリに不慣れな私はご夫妻の心のこもった案内で全く不自由を感じることなく、これまでに無いほど楽しくリラックスした時間を過ごすことができました。昼のカフェでは氏の愛するシャトー・ラフィット・ロートシルト、そして夜のバーでは料理に合わせたシャトー・モン・ペラを。私が赤ワインを飲む時には、ボルドーのワイナリーについて熱っぽく語る氏のはにかんだような顔が思い出されるのです。

日本での録音でも氏は一切妥協しませんでした。
数原普(Tp)、平原まこと(Sax)、フレッド・シモンズ(Tb)、外囿祥一郎(Euph)、前田憲男(Pf)、田附透(Gt)、久末隆二(Bs)、阿野次男(Dr)。

これだけの演奏家が同じ場所に揃うことなんて他ではありえないことだと思います。
真島氏は、「音楽」には一切の妥協はしません。それが所謂「真島流」なのです。

ではなぜこれほどまでに一流のミュージシャンを集めることができたのか?それは真島氏の「人柄」、この一言に尽きます。
氏はとにかく人を大切にする人でした。一度でも氏と関わったことのある人なら誰もが知っていることです。だから真島氏が声をかけるといつでも人がすぐに集まってきたものです。

テレビ朝日「題名のない音楽会」の公開収録は抽選のため、関係者といえども気軽に誰かを招待することはできません。しかし数少ない招待席の枠に氏は行きつけのお寿司屋のご夫妻を招待していたのです。このような氏の優しさを私たちは皆知っています。

「GOLD POP」はその後「vol.2」、「vol.3」が発売されます。これらは赤坂の「オーバカナル」で夜な夜な楽しく、激論が飛び交う打ち合わせを経てリリースされました。中にはクインシー・ジョーンズ氏にプロデュースをお願いして快諾を得られたものもあります。(残念ながらその直後にマイケル・ジャクソン氏が逝去し実現にはいたらなかったのですが)

以下が「GOLD POP」シリーズです:

「GOLD POP vol.1」
http://www.gakufu.co.jp/products/cd/KICC-791/
GOLD POP vol.1

「GOLD POP vol.2」
http://www.gakufu.co.jp/products/cd/KICC-791/
GOLD POP vol.2

「GOLD POP vol.3」
http://www.gakufu.co.jp/products/cd/KICC-791/
GOLD POP vol.3

私はこれまで数々のCDをリリースしてきましたが、ひょっとしたら今後「GOLD POP」を超えるようなCDは作れないのかもしれないと考えています。真島氏無き企画制作では、これまでの物を上回るイメージを持つことができないのです。

私は何度も氏のご自宅に伺い、その度に多くの素晴らしいジャズのCDを聴かせていただいたり、ライブDVDを見せていただきました。時にはパーカッションの教則DVDを見ながら解説をしてくださったこともありました。氏は私にとっては経験豊かな人生の先輩であり、たくさんの音楽を教えてくださった先生でもあります。2011年に株式会社エイトカンパニィ(現ロケットミュージック)を立ち上げた際は、氏は「僕にも出資させて欲しい」と仰ってくださいました。氏は私と会社のことを心から考えてくださっていたのです。

真島氏にお世話になったことは多すぎてここでは書ききれません。しかしこれはだけは今すぐにでも紹介をしなければならないと思いました。それは氏が阪神淡路大震災後に委嘱で書いた

「Renaissance(ルネッサンス-復興-)~大震災への鎮魂歌、そして復興への讃歌」

という吹奏楽曲です。東日本大震災の時にもその売上全額を東日本へ寄付させていただいた曲です。

現在熊本で起きた地震により、今もなお避難生活を余儀なくされている大勢の方がいらっしゃいます。私どもはこの楽譜の売上金額の全てを今後熊本へ贈りたいと思います。
ご自身の作品が復興の一助になることを真島氏はきっと喜んで見てくださっていると思います。

以下は楽譜「Renaissance(ルネッサンス-復興-)」の紹介です;

Renaissance(ルネッサンス-復興-)
http://www.gakufu.co.jp/products/suisougaku/ORG/ORG6/


真島氏にはもっともっと聞きたいことがありました。音楽のことや、仕事に対する向き合い方も。しかし今となっては、これまで教えていただいたことを一つ一つ思い出して自分の力で答えを見つけていく以外に道はないと考えています。

真島さん、これまで本当にありがとうございました!天国ではすでにトロンボーンを吹かれていることと思います。素晴らしい曲もできた頃でしょうか?

You will live in our heart forever. May your soul rest in peace.

真島俊夫



ロケットミュージック代表取締役社長
助安博之




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